待機ビザの要件

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待機ビザの要件

はじめに

アイ・ビー飛鳥行政書士法人です。

日本の大学や専門学校を卒業し、無事に希望の企業から内定を得た留学生の皆様、誠におめでとうございます。しかし、安堵も束の間、「卒業は3月(または9月)だが、入社は来年の4月。それまでの期間、日本に滞在し続けることはできるのだろうか?」「一度母国に帰国しなければならないのか?」といった新たな不安に直面している方も多いのではないでしょうか。

特に、日本の多くの企業が採用する「新卒一括採用」の慣行により、卒業から入社までに数ヶ月の空白期間が生まれることは珍しくありません。この期間、「留学」ビザのまま日本に滞在し続けることは、その活動目的(学業)が終了しているため、原則として認められません。

このような状況にある優秀な外国人材が、安心して入社準備期間を日本で過ごせるように設けられているのが、通称**「内定待機ビザ」、正式には在留資格「特定活動」**です。

この記事では、ビザ専門の行政書士として、この内定待機ビザを取得するための要件、具体的な手続き、必要書類、そして取得後の注意点まで、あらゆる情報を網羅的かつ徹底的に解説します。この記事を最後までお読みいただくことで、ご自身が対象となるか否かの判断はもちろん、申請に向けて企業とどのように連携し、何を準備すればよいのかを明確に理解することができます。

「内定待機ビザ」とは何か?|制度の趣旨と必要性

まず、この在留資格の基本的な位置づけを理解することが重要です。

正式名称は在留資格「特定活動」

「内定待機ビザ」という名称は、あくまで通称です。出入国在留管理庁(以下、入管)が発行する在留カードには「特定活動」と記載されます。「特定活動」ビザは、法務大臣が個々の外国人について特に活動を指定して許可するもので、他のどの在留資格にも分類されない活動のための、いわば「オーダーメイド」の在留資格です。

今回解説する内定者のための活動は、この「特定活動」の一類型として認められています。同様の通称を持つものに、「就職活動ビザ(継続就職活動のための特定活動)」や「ワーホリビザ(ワーキングホリデーのための特定活動)」などがあります。

なぜ「内定待機ビザ」への変更が必要なのか?

在留資格制度は、日本で行う活動内容に応じて許可されるのが大原則です。

  • 「留学」ビザ: 大学等で教育を受けるための活動
  • 「技術・人文知識・国際業務」ビザ: 専門知識を活かして企業で働くための活動

大学を卒業した時点で、「留学」ビザで許可された活動は終了します。また、まだ入社していないため、「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザの活動も開始できません。この「学業終了後、就労開始前」という空白期間の在留を法的に認めるために、活動内容を「内定後の入社待機」として指定した「特定活動」ビザへの変更が必要になるのです。

特に、在留期限が入社日の2ヶ月半以上前に到来してしまう場合は、この内定待機ビザを取得しなければ、一度本国へ帰国し、改めて就労ビザの「在留資格認定証明書交付申請」を行う必要が出てくるため、非常に重要な手続きと言えます。

【最重要】内定待機ビザを取得するための全要件

内定待機ビザを取得するためには、複数の要件をすべて満たす必要があります。ご自身が該当するか、一つひとつ慎重に確認していきましょう。

対象者要件:誰が申請できるのか?

このビザを申請できるのは、以下のいずれかの在留資格で日本に在留している方に限られます。

  • 「留学」の在留資格で在留している方
  • 継続就職活動を目的とする「特定活動」の在留資格で在留している方

つまり、大学等を卒業後、一度「就職活動ビザ」に切り替えて就職活動を続け、その結果として内定を得た方も対象に含まれます。一方で、ワーキングホリデーや家族滞在など、上記以外の在留資格から直接この内定待機ビザに変更することはできません。

学歴要件:どの教育機関を卒業している必要があるか?

申請者は、「本邦の教育機関を卒業したこと、又はその課程を修了したこと」が求められます。具体的には、以下の教育機関が該当します。

  • 大学(短期大学を含む)および大学院
  • 専門学校(「専門士」または「高度専門士」の称号を取得した場合に限る)
  • 高等専門学校
  • その他、これらに準ずる教育機関

時期に関する要件:申請と採用のタイミング

タイミングに関する要件は非常に厳格であり、以下の2つの条件を両方とも満たす必要があります。

  • 内定を得てから1年以内であること
  • 教育機関を卒業してから1年6ヶ月以内に採用される(入社する)こと

例えば、2025年3月に大学を卒業したAさんのケースで考えてみましょう。

  • ケース①(許可可能性あり): 2025年10月にB社から内定を得て、入社日が2026年4月1日の場合。
    →内定から1年以内(約6ヶ月後)、卒業から1年6ヶ月以内(約1年1ヶ月後)のため、要件を満たします。
  • ケース②(不許可): 2026年8月にC社から内定を得て、入社日が2027年4月1日の場合。
    →入社日が卒業日(2025年3月)から2年以上経過しており、「卒業後1年6ヶ月以内」の要件を満たさないため、対象外となります。

この期間の計算を誤ると申請自体が無駄になってしまうため、ご自身の卒業日、内定日、入社日を正確に把握することが極めて重要です。

職務内容の要件:将来の就労ビザへの変更が見込まれること

これは、内定待機ビザの審査における核心部分とも言える要件です。

「内定している企業等において従事する活動が、『技術・人文知識・国際業務』等の就労に係るいずれかの在留資格への変更が見込まれること」が求められます。

これは、単なる「見込み」の審査ではありません。実際には、内定待機ビザの申請時に、将来変更する予定の就労ビザの要件を満たしているかどうかが、ほぼ本審査と同様にチェックされます。

つまり、大学での専攻内容と内定先の職務内容に関連性があるか、企業の安定性・継続性はあるか、といった就労ビザの許可基準をクリアしていなければ、「変更が見込まれる」とは判断されず、内定待機ビザも不許可となります。工場のライン作業や店舗での接客、警備業務といった単純労働と見なされる職種では、この要件を満たすことはできません。

在留状況の要件:素行が善良であること

申請者のこれまでの日本での在留状況に問題がないことが前提となります。資格外活動許可の時間を超過したアルバイト、税金や公的保険料の未納、交通違反を含む法律違反などがある場合、素行不良と見なされ、許可を得ることが難しくなります。

雇用主の要件:企業側の誓約義務

申請者本人だけでなく、内定先企業側の協力も不可欠です。企業は以下の内容について誓約し、その旨を記した「誓約書」を提出する必要があります。

  • 内定者と定期的(少なくとも3ヶ月に1回)に連絡をとること。
  • 内定を取り消した場合には、遅滞なく地方出入国在留管理局にその旨を連絡すること。

これは、内定が確実であり、企業側にも内定者を管理・監督する責任があることを示すための重要な手続きです。

申請手続きの流れと必要書類

要件を満たしていることを確認したら、次は申請準備です。

申請のタイミング

申請は、現在保有している在留資格の有効期限が切れる前に行います。審査には平均して1ヶ月程度かかりますが、事案によってはさらに時間を要する場合もあるため、在留期限まで1〜2ヶ月の余裕を持って申請を開始するのが理想です。

必要書類一覧

申請には、本人と内定先企業がそれぞれ書類を準備する必要があります。

<申請人本人が用意する書類>

  1. 在留資格変更許可申請書
  2. 証明写真(規定サイズのもの)
  3. パスポート及び在留カード(申請時に提示)
  4. 申請人の在留中の一切の経費の支弁能力を証する文書(預金残高証明書、親からの送金証明書、奨学金の給付証明書など)

<内定先企業に用意してもらう書類>

  1. 採用後に行う活動に応じた就労ビザへの変更申請に必要な資料一式
    • これは、事実上、新規で「技術・人文知識・国際業務」ビザ等を申請する場合とほぼ同じ書類を求められることを意味します。
    • 具体例:会社の登記事項証明書、直近年度の決算報告書の写し、法定調書合計表の写し、雇用契約書の写し、雇用理由書など。
  2. 内定の事実、及び内定日が確認できる資料(内定通知書の写しなど)
  3. 連絡義務等の遵守が記載された誓約書(入管所定の様式)
  4. 採用までに行う研修等の内容を確認できる資料(該当する場合のみ)

ご覧の通り、企業側に準備してもらう書類が非常に多く、また専門的です。内定待機ビザの申請を希望する場合は、できるだけ早く企業の人事・採用担当者に相談し、制度について説明した上で、書類準備への協力を依頼することが不可欠です。

内定待機ビザを取得した後の注意点

無事にビザが許可された後も、安心して入社の日を迎えるために注意すべき点が2つあります。

アルバイトをするには「資格外活動許可」が必要

内定待機のための「特定活動」ビザでは、原則として就労(アルバイトを含む)は認められていません。もし生活費等を補うためにアルバイトをする必要がある場合は、別途**「資格外活動許可」**を申請し、許可を得る必要があります。許可されれば、週28時間以内でのアルバイトが可能になります。

また、内定先企業で入社前研修やインターンシップに参加し、それが報酬を伴うものである場合も、この資格外活動許可が必要です。

入社日までに対象の就労ビザへ変更する

最も重要な注意点です。内定待機ビザは、あくまで入社を「待つ」ための一時的な在留資格です。実際に企業で就労を開始する前には、必ず従事する職務内容に合った就労ビザ(例:「技術・人文知識・国際業務」)への在留資格変更許可申請を行い、許可を得なければなりません。

この変更手続きを怠り、内定待機ビザのまま就労を開始してしまうと「不法就労」となり、在留資格が取り消されるなど、極めて深刻な事態を招きます。就労ビザへの変更申請は、入社日の3ヶ月前頃から可能ですので、計画的に準備を進めましょう。

まとめ – 計画的な準備がスムーズな社会人生活の第一歩

卒業から入社までの期間を日本で過ごすための「内定待機ビザ」について、ご理解いただけたでしょうか。最後に重要なポイントをまとめます。

  • 制度の目的: 卒業と入社の時期のギャップを埋め、日本での待機を可能にするための制度。
  • 厳格な要件: 対象者、学歴、時期、職務内容、素行、企業側の協力といった全ての要件を満たす必要がある。
  • 企業の協力: 申請には企業側が準備する多数の書類が必要不可欠。早期の連携が成功の鍵。
  • 取得後の義務: アルバイトには資格外活動許可が必要。入社前には必ず就労ビザへの変更を完了させる。

この手続きは、留学生の皆様にとっては日本での社会人生活に向けた最初の重要なステップです。もしご自身で手続きを進めることに不安がある場合や、企業側への説明にお困りの場合は、専門家である行政書士にご相談ください。

当事務所のサポート

当事務所では、留学生のビザ問題に関する豊富な経験と専門知識を持つ行政書士が、お客様一人ひとりの状況を丁寧にヒアリングし、最適なサポートを提供いたします。

  • 内定待機ビザの要件診断と許可可能性の判断
  • 内定先企業への手続き説明と必要書類準備のサポート
  • 申請書類一式の作成及び理由書の作成
  • 出入国在留管理局への申請手続き代行
  • 入社前の就労ビザへの変更手続きまでの一貫したサポート

卒業から入社まで、不安なく日本で過ごし、万全の体制でキャリアをスタートできるよう、私たちビザの専門家が強力にサポートいたします。お気軽にご相談ください。

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