就労VISA完全ガイド

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就労VISA完全ガイド

はじめに

アイ・ビー飛鳥行政書士法人の藤村です。

「海外の優秀な人材を採用したいが、手続きが複雑で分からない」

「日本の大学を卒業するが、日本で働くにはどうすればいい?」

「転職を考えているが、今のビザのままで大丈夫だろうか?」

グローバル化が進む現代において、外国籍人材の活躍は日本経済の発展に不可欠です。しかし、外国籍の方が日本で働くためには、「就労ビザ」という法的な許可を取得しなければなりません。

この就労ビザの申請は、ただ書類を揃えて提出すれば許可されるような単純なものではありません。申請するビザの種類によって満たすべき要件は細かく定められており、申請者個人の学歴や職歴、そして雇用する企業の経営状況まで、多岐にわたる項目が厳しく審査されます。

もし準備不足や知識の誤解から申請が不許可になれば、採用計画は白紙に戻り、投じた時間とコストは無駄になってしまいます。キャリアプランを描いていた外国人本人にとっても、その影響は計り知れません。

この記事では、ビザ申請を専門とする行政書士の視点から、就労ビザに関するあらゆる知識を網羅的に、そして分かりやすく解説します。この記事を最後までお読みいただくことで、ご自身の状況に合ったビザの種類、許可を得るためにクリアすべき要件、そして申請の具体的な流れと必要書類まで、すべてを理解することができます。

就労ビザの基本|「ビザ」と「在留資格」の違いとは?

まず初めに、多くの方が混同しがちな「ビザ」と「在留資格」の違いからご説明します。

一般的に「就労ビザ」と呼ばれていますが、厳密には2つの異なる手続きを指します。

  • 査証(ビザ): 外国にある日本の大使館や総領事館が発給するもので、「この人物のパスポートは有効であり、日本に入国させることに支障はない」という推薦状のようなものです。主に日本に入国する際に一度だけ使用します。
  • 在留資格: 日本に入国した外国人が、日本国内で特定の活動を行うことを法的に認める許可です。日本に滞在し、働くためにはこの「在留資格」が必要不可欠です。

私たちが普段「ビザの申請」や「ビザの変更」と呼んでいる手続きは、正しくはこの「在留資格」に関する手続きを指します。この記事では、分かりやすさを重視し、一般的に使われている「就労ビザ」という言葉で解説を進めます。

就労ビザの種類一覧|どんな仕事ができる?(全16種類)

日本で就労が認められる在留資格(就労ビザ)は、その活動内容に応じて細かく分類されています。ここでは、代表的な16種類の就労ビザを一覧でご紹介します。ご自身や採用したい人材がどのビザに該当するのか、確認してみてください。

  • 教授(例:大学教授、助教授、助手など)
  • 芸術(例:作曲家、画家、写真家など)
  • 宗教(例:僧侶、宣教師等の宗教家など)
  • 報道(例:新聞記者、報道カメラマン、アナウンサーなど)
  • 経営・管理(例:会社社長、役員など)
  • 法律・会計業務(例:日本の資格を有する弁護士、公認会計士、税理士など)
  • 医療(例:日本の資格を有する医師、歯科医師、看護師など)
  • 研究(例:企業や研究所等の研究員、調査員など)
  • 教育(例:小・中・高校の語学教師など)
  • 技術・人文知識・国際業務(例:ITエンジニア、翻訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング職など)
  • 企業内転勤(例:海外の本社から日本の支社へ転勤する社員など)
  • 介護(例:介護福祉士の資格を有する介護士)
  • 興行(例:俳優、歌手、プロスポーツ選手、モデルなど)
  • 技能(例:外国料理の調理師、パイロット、スポーツトレーナー、ソムリエなど)
  • 特定技能(例:特定産業分野(14分野)で即戦力として働く人材)
  • 技能実習(例:日本の技術を学び、母国で活かすための技能実習生)

この中でも、特に多くのビジネスパーソンや留学生が取得するのが「技術・人文知識・国際業務」ビザです。次の章では、この最も代表的な就労ビザについて、要件を深掘りして解説します。

【最重要】「技術・人文知識・国際業務」ビザ取得の3大要件

「技術・人文知識・国際業務」ビザは、理系・文系の専門職を幅広くカバーする最も一般的な就労ビザです。このビザの審査では、主に以下の3つの要件が厳しくチェックされます。

要件①:学歴・職歴と職務内容の関連性(在留資格該当性)

これが最も重要なポイントです。「申請者がこれから行おうとする仕事が、ビザのルールに合っているか?」、具体的には「本人の学歴や職歴と、就職先での仕事内容に密接な関連性があるか?」が問われます。このビザは、以下の3つのカテゴリーに分類され、それぞれ求められる要件が異なります。

  • 「技術」に該当する業務(理系分野)
    • 対象業務: ITエンジニア、プログラマー、設計開発、機械工学の技術者など。
    • 要件:
      1. 従事する業務に関連する科学、工学、その他の自然科学の分野を専攻して大学を卒業していること(専門学校で「専門士」を取得した場合も含む)。
      2. または、従事する業務について10年以上の実務経験があること。
      3. または、法務大臣が定める情報処理技術に関する試験に合格、または資格を保有していること。
  • 「人文知識」に該当する業務(文系分野)
    • 対象業務: 企画、営業、マーケティング、経理、総務、法務など。
    • 要件:
      1. 従事する業務に関連する法律学、経済学、社会学、その他の人文科学の分野を専攻して大学を卒業していること(専門学校で「専門士」を取得した場合も含む)。
      2. または、従事する業務について10年以上の実務経験があること。
  • 「国際業務」に該当する業務
    • 対象業務: 翻訳、通訳、語学指導、広報、宣伝、海外取引業務、デザイナーなど、外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務。
    • 要件:
      1. 従事する業務について3年以上の実務経験があること。
      2. ただし、大学を卒業した者が「翻訳・通訳・語学の指導」に従事する場合は、実務経験は不要です。

要件②:会社の安定性・継続性と適正な給与

外国人本人だけでなく、「雇用主である企業が、安定して給与を支払い続けられるか?」という点も審査の対象です。

  • 企業の経営状況: 提出された決算書によって経営状態が確認されます。設立間もない会社や、赤字が続いている、債務超過であるといった場合は、今後の見通しを具体的に示した「事業計画書」を提出し、事業の安定性・継続性を説得力をもって説明する必要があります。
  • 給与水準: 報酬額が、同じ仕事内容の日本人と同等額以上であることが絶対条件です。不当に低い給与設定は、専門的な業務ではないと疑われたり、差別的待遇と見なされたりして不許可の大きな原因となります。地域や業種にもよりますが、月額18万円以上が一つの目安とされています。

要件③:申請者本人の素行

申請者本人が、日本で問題なく生活できる人物か、という点も見られます。過去の在留状況がクリーンであることが求められます。

  • 納税や公的義務の履行: 税金や年金、健康保険料などをきちんと納めているか。
  • 法律の遵守: 過去に犯罪歴がないか、交通違反を繰り返していないか。
  • 留学生の場合: 特に、資格外活動(アルバイト)の上限時間(週28時間)を遵守していたかが厳しくチェックされます。この時間を超えて働いていたことが発覚すると、不許可になる可能性が極めて高くなります。

就労ビザ申請の3つのパターンと手続きの流れ

就労ビザの申請は、状況に応じて大きく3つのパターンに分かれます。

パターン1:海外から外国人を呼び寄せる【新規申請】

これは「在留資格認定証明書交付申請」と呼ばれる手続きです。

  1. 申請準備: 日本にいる受入企業(または代理人の行政書士)が必要書類を準備します。
  2. 入管へ申請: 日本国内の出入国在留管理局に「在留資格認定証明書」の交付を申請します。
  3. 証明書の交付: 審査(通常1~3ヶ月)を経て、許可されると「在留資格認定証明書」が交付されます。
  4. 海外へ送付: 交付された証明書を、海外にいる外国人本人へ郵送します。
  5. 現地日本大使館で査証(ビザ)申請: 外国人本人が、その証明書とパスポートなどを持って、自国の日本大使館・総領事館で査証(ビザ)を申請します。
  6. 来日: 査証が発給されたら、日本へ入国できます。空港で在留カードが交付されます。

パターン2:日本にいる留学生などを採用する【変更申請】

これは「在留資格変更許可申請」と呼ばれる手続きです。例えば、「留学」ビザから「技術・人文知識・国際業務」ビザへ切り替えるケースです。

  1. 申請準備: 卒業や入社に合わせて、申請人本人と受入企業が必要書類を準備します。
  2. 入管へ申請: 申請人の住所地を管轄する出入国在留管理局に申請します。
  3. 審査・結果通知: 審査(通常2週間~2ヶ月)が行われ、結果がハガキで通知されます。
  4. 新しい在留カードの受領: 許可の通知が来たら、入管で手数料(4,000円)の収入印紙を貼り、新しい在留カードを受け取ります。

パターン3:ビザの有効期間を延長する【更新申請】

これは「在留期間更新許可申請」と呼ばれます。在留期限のおおむね3ヶ月前から申請可能です。

  1. 申請準備: 申請人本人と受入企業が必要書類を準備します。
  2. 入管へ申請: 住所地を管轄する出入国在留管理局に申請します。
  3. 審査・結果通知: 審査(通常2週間~1ヶ月)が行われ、結果がハガキで通知されます。
  4. 新しい在留カードの受領: 許可の通知が来たら、入管で手数料(4,000円)の収入印紙を貼り、新しい在留カードを受け取ります。

申請に必要な書類一覧(中小企業の場合)

必要書類は、申請の種類や雇用する企業の規模(カテゴリー)によって異なります。ここでは、最も一般的な「技術・人文知識・国際業務」への変更申請で、中小企業(カテゴリー3・4)が用意する書類を例として挙げます。

【申請人(外国人本人)が用意する書類】

  • 在留資格変更許可申請書
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)
  • パスポート及び在留カード(申請時に提示)
  • 履歴書
  • 卒業証明書(または卒業見込証明書)
  • (専門学校卒の場合)専門士の称号授与証明書
  • (日本語能力を証明する場合)日本語能力試験(JLPT)N1などの合格証
  • (転職の場合)前職の退職証明書、源泉徴収票など

【会社が用意する書類】

  • 雇用契約書(または労働条件通知書)の写し
  • 会社の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
  • 会社案内(パンフレットやウェブサイトを印刷したものなど、事業内容が分かる資料)
  • 直近年度の決算報告書(損益計算書・貸借対照表)の写し
  • 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(税務署の受付印があるもの)
  • 雇用理由書: なぜこの外国人を採用する必要があるのか、担当する具体的な職務内容と本人の学歴・専門性との関連性を詳細に説明する、審査で最も重要視される書類の一つです。

※上記はあくまで一例です。個別の状況により、これ以外の追加資料の提出を求められる場合があります。

転職者を採用する際の注意点|「就労資格証明書」の活用

既に就労ビザを持っている外国人を中途採用する場合、注意が必要です。前の会社と同じ職種(例:A社でエンジニア→B社でエンジニア)であれば、基本的にはビザの変更は不要ですが、次回の更新時に転職の事実が審査されます。

このとき、転職後の業務内容がビザの範囲外であると判断されたり、転職先の経営状況に問題があったりすると、更新が不許可になるリスクがあります。

このリスクを回避するために有効なのが「就労資格証明書」です。

これは、転職後の新しい会社での仕事内容が、現在持っているビザで認められる活動の範囲内であることを、入管に事前に審査・証明してもらう制度です。

これを取得しておくことで、企業側は「適法に雇用できる」ことを確認でき、外国人本人も次回のビザ更新をスムーズに進めることができるという大きなメリットがあります。転職者を雇用する際は、この手続きを強くお勧めします。

まとめ – 計画的な準備が就労ビザ成功の鍵

就労ビザの取得は、外国籍人材が日本でキャリアを築くための第一歩であり、企業にとってはグローバルな競争力を高めるための重要な戦略です。

  • ビザの種類を正しく理解する: 従事する仕事内容に合ったビザを選ぶ。
  • 審査のポイントを押さえる: 「学歴と職務の関連性」「会社の安定性」「本人の素行」の3点が重要。
  • 手続きの流れを把握する: 新規・変更・更新、自身の状況に合った手続きを行う。
  • 必要書類を完璧に準備する: 特に「雇用理由書」で説得力のある説明をする。
  • 早期に準備を開始する: 審査には時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールを組む。

これらのポイントを確実に押さえ、計画的に準備を進めることが、ビザ取得を成功させるための唯一の方法です。

当事務所のサポート

当事務所では、就労ビザの申請に関する豊富な経験と専門知識を持つ行政書士が、お客様一人ひとりの状況を丁寧にヒアリングし、許可の可能性を高めるための最適なサポートを提供いたします。

  • ビザ取得の可能性診断
  • 学歴と職務内容の関連性に関するコンサルティング
  • 許可率を最大限に高める「雇用理由書」の作成
  • 企業の状況に応じた必要書類の的確なご案内
  • 複雑で時間のかかる出入国在留管理局への申請手続き代行

「この人材は採用できるだろうか?」「自分の経歴でビザは取れるだろうか?」

そのように感じたら、ご自身で判断して申請を進めてしまう前に、ぜひ一度、私たちビザの専門家にご相談ください。お客様と、貴社で活躍する外国人材の輝かしい未来を、ビザ申請の面から強力にサポートいたします。

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